根管治療
根管治療
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2026.06.21
症例
MTAセメントの特徴 MTAセメントは、アメリカのロマリンダ大学で開発された歯科用セメントです。海外では、歯髄の保存、穿孔部の封鎖など様々な臨床応用が認められております。以下にMTAセメントの特徴をまとめました。 強アルカリ性による高い殺菌作用をもっている セメントが固まる過程で水酸化カルシウムを放出することから、強アルカリ性(pH12)という性質を持ちます。虫歯や歯周病の原因となる細菌は強アルカリ性の環境下で生き残ることができないため、殺菌効果が期待できます。 封鎖性に優れている(膨張して隙間をつくらない) セメントが固まる際、わずかに膨張して微細な隙間を封鎖することで、再び細菌が侵入するのを防ぎます。 新しく象牙質をつくるよう促す 歯髄に触れると、神経を保護するための新しい象牙質をつくるよう促します。 身体に対して安全な材料である 主成分はケイ酸カルシウムであり、細胞に対する毒性が極めて低いとされています。まわりの組織の治癒を妨げず、その再生を助けます。 これらの特徴をまとめると、MTAセメントは、患部を殺菌、封鎖し、まわりの組織再生を促すという優れた材料といえます。 従来では、神経を取るしかない、または、抜歯するしかなかった場合において、歯の寿命を長くする材料として期待されています。 MTAセメントの治療における効果 1.深い虫歯から歯の神経(歯髄)を守る 深い虫歯の時、虫歯の部分を削った際に神経(歯髄)が露出することがあります(露髄)。 従来は神経が露出すると、感染のリスクや痛みを避けるために神経をとっていました(抜髄)が、露出した神経の上に直接MTAセメントを塗布して神経を保護することで、歯をできるだけ長く保存することができるといわれています。 2.歯根の先端を完全に密閉し、再感染の確率を下げる 過去に根管治療をした歯が再度、細菌感染してしまった場合、従来は根管治療の最後にゴムのような材料を詰める際、隙間ができやすいという欠点がありました。 しかし、MTAセメントを隙間なく緊密に充填することで、再感染の確率を下げるとされています。 3.歯根にできた穴を塞ぎ、抜歯を回避する 深い虫歯によって歯根に穴が開いてしまった状態、根管治療で誤って根の壁を突き破った状態をパーフォレーションと言います。 従来はこの部位に細菌が入り込むと激しい痛みを伴うため、抜歯と診断されることがほとんどでした。 MTAは開いた穴をセメントで安全に塞ぐことで、歯を残せる可能性が高まります。 4.外科的な方法で歯根の先端を治療する 通常の根管治療ではどうしても治りきらない場合(根の先端に歯根嚢胞ができている)にも用いることがあります。患部に麻酔をし、歯ぐきを切り、骨を少し削ります。歯根の先端を数ミリ切除し、断面の穴にMTAセメントを詰めて密閉します。 以上のように、MTAによる治療方法は多岐にわたります。 MTAセメントの有効性を示す論文 MTAセメントの有効性は多くの論文やデータによって裏付けられています。その一部をご紹介します。 論文1:深い虫歯において神経をのこせる確率が高い 水酸化カルシウム製剤とMTAセメントを比較した研究 MTAセメントを用いた場合:成功率 約85% 〜 93%、水酸化カルシウム製剤(従来)の場合:成功率 約60% 〜 68% (出典:Hilton et al., “Comparison of CaOH and MTA for direct pulp capping”, Journal of Dental Research, 2013 / Mente J, et al., “Treatment outcome of mineral trioxide aggregate in open apices”, Journal of Endodontics, 2014) MTAセメントを使用することで、従来の方法よりも約20〜30%も高い確率で神経を残せることが実証されています。これまで、数年後に結果的に神経が死んでしまうことがありましたが、MTAセメントの象牙質の形成能によって大幅に減少しました。 論文2:抜歯とされてきたパーフォレーション(穿孔)の修理に効果がある MTAセメントで穴を塞いだ症例の成功率:約86% (出典:Siew WL, et al., “Treatment outcome of repaired root perforations: a systematic review”, Journal of Endodontics, 2015) これまで抜歯と言われた歯を残せる可能性があります。 MTAセメントによる治療の注意点 MTAセメントは日本でも広まりつつある治療方法ですが、注意もあります。 注意点1:すでに神経の炎症(歯髄炎)がおきた状態で使用した場合 MTAセメントによって神経が残せるケースは、細菌感染はあるものの神経がまだ回復可能な場合とされています。 夜も眠れないほどの激痛がある、温かいもので激しく痛みがある、神経の大部分が細菌によって壊死しかけている状態(不可逆性歯髄炎)など、このような症状がでている場合は、神経を取り除かなければならなくなります。 注意点2:唾液や水が入らない状態(防湿)で治療を行っていない場合 わずか1滴の唾液の中には、数億から数十億匹の細菌が存在しています。治療中に唾液が神経の露出部に触れると、セメントの下で細菌が繁殖してしまい、神経を取り除かなければならなくなります。 注意点3:修復物の劣化や破損がおきた場合 プラスチックや被せ物が劣化、破損した場合、隙間から再感染するおそれがあります 。 注意点4:自費診療(保険適用外)に対する期待と成功率の差 MTAセメントによる治療は、日本の医療保険が適用されないため、自費診療となります。また、成功率が100%ということはあり得ません(成功率は約85〜93%)。思うような結果が得られず、神経が残せないこともあります。 センター南デンタルクリニックでは、従来の診断で神経を取らなければならない虫歯、抜かなければならない歯に対して、MTAセメントによる保存を行っています。治療のメリットやデメリットをしっかりご説明し、できる限り患者様ひとり一人の希望に沿った形で進めていけるように配慮しています。治療内容や方針に疑問があれば、ご遠慮なくご相談ください。ご理解いただき、ご納得された上で治療をすすめてまいります。 センター南デンタルクリニック 院長 吉竹絵里 こちらもご参照ください。 センター南デンタルクリニック|虫歯治療・根管治療 センター南デンタルクリニック|セラミック治療
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【症例】神経に到達した奥歯と前歯の虫歯を異なる材料で修復した治療
2026.03.05
症例
CADCAM冠という選択肢 患者様は今回、奥歯の被せ物は色を気にされないとのことからCADCAM冠(保険適応内)での治療を希望されました。一方、前歯の左上2番は審美的な理由でセラミッククラウン(保険適応外)を選択されました。 このように、被せ物の材料には保険適応内・適応外を含め複数の選択肢があり、部位や見た目へのご要望、費用のご事情に合わせて選ぶことができます。 奥歯の被せ物で使用したCADCAM冠は金属が高騰し続ける中、金属に代わる材料として歯科に導入されています。 CADCAM冠 CADCAM冠とは、プラスチックとセラミックを混合したハイブリッドレジンです。 メリット ・銀歯よりも見た目が自然です。 ・金属アレルギーの方でも使用できます。 デメリット ・経年的に変色やすり減りが起きます。 ・セラミックに比べて、割れたり外れたりしやすいです。 ・銀歯より歯を削る量が多いです。 センター南デンタルクリニックでは、患者様からのご相談に対して様々な選択肢を提示し、治療のメリットやデメリットをしっかりとご説明しております。ご理解し、納得された上で治療をすすめてまいりますのでどうぞお気軽にご相談ください。 センター南デンタルクリニック 院長 吉竹絵里 こちらもご参照ください。 センター南デンタルクリニック|セラミック治療 センター南デンタルクリニック|虫歯治療・根管治療
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【症例】左下の虫歯治療をきっかけに、日本で通える歯科医院を探していた患者様のセラミック修復治療
2025.11.16
症例
虫歯の原因について 虫歯ができる原因には、以下の4つの要素が関わっているとされています。 1.虫歯をつくる細菌 2.細菌の栄養源となる糖質の摂取 3.細菌が産生した酸にさらされる時間の長さ 4.歯の質が弱い(酸によって、溶けやすい) 歯磨きしているのに虫歯になりやすいと思っている方は、以下の2つの原因が考えられます。 ・磨き残しの問題 歯ブラシが届きにくい『歯と歯の間』や『一番後ろの歯』『被せ物との段差』など に歯垢が残っている可能性があります。 当院では、歯垢が付いた部位を色で染めて視覚的に磨き残しを確認してもらいます。 歯垢が溜まっている部位に気づき、意識して 磨くきっかけになってくださると嬉しいです。 ・糖分摂取回数の問題 1日の3回の食事以外に、糖分入りの飲み物や間食を摂取する回数が多いことも原因となります。 スポーツドリンク、カフェオレといった糖分を含む水分も間食としてカウントすると 多くの方が糖分を1日に5回〜6回は摂取していることになります。 当院では初診時に、エックス線検査や歯ぐきの検査などを受けていただいています。検査後は、患者様自身のお口の状態で何が問題なのか、なぜその状態になったのかご理解いただくために、検査結果をもとにお口全体についてご説明させていただいています。 歯の寿命を延ばすために 健康な歯の神経を失うとその歯の寿命が短くなります。 その理由をご存知でしょうか? 理由1 虫歯が再発しても痛みを感じにくい 被せ物が外れてきたり、歯が欠けたりしてから虫歯が進行していることに気づくことになります。歯根にまで細菌が侵入すると、根管治療が必要となります。 理由2 歯に栄養が行き届かず、歯がもろくなる 歯の神経を除去すると、栄養素が供給されず、歯の強度が低下していきます。そのため、日常の食事で噛んだ時に、突然歯が折れてしまうことがあります。特に被せ物の中に使用した土台が金属の場合は、歯が折れるリスクがさらに高くなります。 銀歯など被せ物との境目は、歯垢が溜まりやすい部位になります。被せ物も長年使用し続けていくうちに変形し、段差が生じていきます。一度神経を取り除いた大きな銀歯のまわりは、丁寧に磨きましょう。 また、神経を取るほど大きな虫歯の場合、治療回数が多くなります。根管の治療を行う際には、唾液(つば)の中の細菌が混入しないよう長時間お口を開けることとなります。このように治療回数も多く、1回あたりの治療時間も長くなるため、途中で治療を中断してしまう方もいらっしゃいます。しかし、最終的に被せ物が装着するまで間隔を空けすぎないよう、通院し、治療を最後まで完了させることが重要です。その後も定期的なメンテナンスを受けることで、歯の寿命を延ばすことができます。 多言語対応による安心の治療環境 言語の違いにより治療が思うように進まないことで、お困りの患者様もいらっしゃいます。歯科治療では患者様とのコミュニケーションが治療の質を大きく左右するため、十分な説明と理解が不可欠です。当院では英語での対応も可能であり、海外から日本にいらした方々にも安心して治療を受けていただける環境を整えております。治療内容についてしっかりとご理解いただきながら、最適な治療を提供いたします。 センター南デンタルクリニックでは、治療方法、使用する材質、治療費用についても、ご理解し、納得された上で治療をすすめてまいります。お気軽にお問い合わせください。 センター南デンタルクリニック 院長 吉竹絵里 こちらもご参照ください。 センター南デンタルクリニック|セラミック治療 センター南デンタルクリニック|虫歯治療・根管治療
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【症例】外れてしまった前歯の差し歯をジルコニアセラミックで修復
2025.11.01
症例
歯科材料の選択について 近年、従来のセラミックと比べて、10倍の硬さを持つ「ジルコニア」が注目されています。 金属と比べられるほど高強度であり、従来のセラミックよりも「割れにくい」のが特徴です。 また、金属のように歯ぐきが黒く変色することはありません。 銀歯は、虫歯の原因菌が作る酸に弱く、歯と銀歯の間に隙間ができていきます。 その隙間から細菌が侵入すると虫歯が再発してしまいます。 一方ジルコニアは、虫歯の原因菌が作る酸に強く、虫歯が再発しにくい材質です。 今回の症例では、表側は『美しさ』を重視してセラミックに、裏側は『強度』を重視してジルコニアを使用しています。また、一度折れてしまった前歯を2本繋げることで、破損や脱離を防止しています。 センター南デンタルクリニックでは、患者様からのご相談に対して様々な選択肢を提示し、治療のメリットやデメリットをしっかりとご説明しております。ご理解し、納得された上で治療をすすめてまいりますので、どうぞお気軽にご相談ください。 センター南デンタルクリニック 院長 吉竹絵里 こちらもご参照ください。 センター南デンタルクリニック|セラミック治療
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2025.10.19
症例
定期検診による早期発見の重要性 今回の患者様の前歯は、以前に神経を取り除き、金属の土台を使った差し歯でした。 金属の土台は硬く、太いものを使用すると薄くなった歯根に過剰な力が加わった時、歯が割れてしまう事があります。一度歯根が破折してしまうと、修復することができず、抜歯となってしまうことがほとんどです。 今回の場合、定期検診による早期発見により境目からの虫歯が大きくなかったため、歯質を比較的残すことができました。また、土台の金属が薄かったため、再度差し歯を作り変えることができました。 このように、定期的な検診でお口の中を細かくチェックすることが、歯を長く守ることにつながります。 センター南デンタルクリニックでは、患者様からのご相談に対して様々な選択肢を提示し、治療のメリットやデメリットをしっかりとご説明しております。ご理解し、納得された上で治療をすすめてまいりますので、どうぞお気軽にご相談ください。 センター南デンタルクリニック 院長 吉竹絵里 こちらもご参照ください。 センター南デンタルクリニック|セラミック治療 センター南デンタルクリニック|虫歯治療・根管治療
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2025.08.27
症例
こんにちは、センター南デンタルクリニック院長の吉竹です。 今回は「被せ物がぐらつく」ことから来院された患者様の症例をもとに、歯の穿孔とMTAセメントによる歯の保存治療について解説します。 実際の症例写真やレントゲン写真を用いて、穿孔の発見から治療完了までの流れを詳しくご紹介します。 穿孔とは 穿孔とは、何らかの原因によって根管内と歯根の表面が交通してしまうことをいいます。 つまり、歯に本来開いてはいけない穴が生じた状態を指します。 発生原因は主に以下の3つです。 ①重度の虫歯 虫歯が進行し歯質が大きく失われた結果、歯に穴が開きます。 ②歯根吸収 歯の組織が溶けて穿孔が生じます。 ③医原性 根管治療中の器具操作ミスにより起こります。 穿孔は術前のCTやレントゲンで発見される場合もあれば、治療中に判明する場合もあります。従来の治療では穿孔が見つかると抜歯が選択されるケースがほとんどでした。 穿孔部の封鎖などに用いられるMTAセメント MTAセメントとは、1993年に米国で開発された歯科用の水硬性セメントです。 強アルカリ性(PH12)で強い殺菌作用をもち、口腔内のような水分の多い状態でも硬化する性質を持っています。 海外では、穿孔部の封鎖など様々な臨床応用が認められており、本来であれば「抜歯」と考えられる場合も保存することが可能になってきています。 穿孔した部位をMTAセメントで修復することで、抜歯を回避できるかもしれないことが分かってきました。 以下の文献によると、治療後12〜107カ月の評価では、86%が治癒をしたと述べてます。 参考文献: Mente J et al. Treatment outcome of mineral trioxide aggregate: repair of root perforations-long-term results. J Endod.2014 Jun;40(6):790-6 穿孔部位にMTAセメントを充填し、修復した症例 センター南デンタルクリニックで実際に行った穿孔修復治療をご紹介します。 患者様は、7年くらい前に根管治療をして被せた歯が、ぐらつくとのことで来院されました。 お口の中を見てみると、被せ物は土台から外れていました。 詳細を確認するため、口腔内エックス線写真を撮影しました。 実際に、歯の中央部分が大きく穿孔していました。 歯が薄くなった部位に亀裂が入り、そこから虫歯が広がったと考えられます。 通常は、穿孔があれば「抜歯」となることが多いです。 しかし、患者様は、なるべく抜歯せずに自分の歯を残したいと希望されていたため、MTAセメント充填を行うことと致しました。 まず、穿孔部分をMTAセメントで充填し、根管治療を開始しました。こちらは根管治療を終了したときの口腔内エックス線写真です。 土台にはプラスチックを充填し、仮歯を装着しました。 仮歯で経過を観察し、被せ物を装着しました。 被せ物を装着後、腫れや痛みはなく状態は安定しています。 治療内容 MTAセメントで穿孔した部位を充填し修復した治療 期間 2ヶ月~4ヶ月 (根管治療の回数などにより変わります) 治療回数 4回 (根管治療の回数などにより変わります) 費用 MTAセメントの充填 20,000円(税込) ※根管治療、仮歯、土台や被せ物の治療費用は、別途かかります。 主な副作用・リスク ・虫歯や穿孔の状態によっては、抜歯になることがあります。 ・被せ物を装着した後、噛み合わせの高さや形態が合わず、違和感がでる場合があります。 ・時間が経過してから二次的の虫歯ができるリスクがあります。 MTAセメント治療で大切な歯を残す選択を センター南デンタルクリニックでは、穿孔部があっても、いきなり抜歯の選択をするのではなく、ご自身の歯をどう残すかを考えることが重要だと思っています。従来の治療では、歯の神経を取らなければならなかったり、抜歯をしなければならなかったりするケースがありました。しかし、MTAセメントを使うことで、ご自身の歯が残せるかもしれません。 ただし、MTAセメントは、完全に予後を保証するものではありません。 処置を確実に行うためには、穿孔部が明視下にあることが絶対条件とされています。 また、以下のようなケースでは結果的に抜歯に至ることもあります。 ・穿孔部の範囲が広くて封鎖に限界がある場合 ・確実な止血ができない場合 なお、MTAセメントによる穿孔修復の治療費用は、保険適用外のため20,000円(税込)となります。費用についてはあらかじめお含みおきください。 患者様のご要望に対応できるよう様々な選択肢を提示し、メリットやデメリットをご説明致します。お気軽にご相談ください。 センター南デンタルクリニック 院長 吉竹 絵里 こちらもご参照ください。 センター南デンタルクリニック|根管治療
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サイナストラクト(フィステル)とは?症例写真で見る診断と治療
2025.06.20
症例
こんにちは、センター南デンタルクリニック院長の吉竹です。 今回は「左上の奥歯の歯ぐきが腫れた」ことから来院された患者様の症例をもとに、歯茎にできるサイナストラクト(フィステル)の診断と治療について解説します。 実際の症例写真やレントゲン写真を用いて、サイナストラクトの発見・根尖病巣の診断から治療までの流れや歯科用CT撮影の必要性を詳しく紹介します。 歯ぐきの腫れからサイナストラクト(フィステル)の発見・根尖病巣の診断まで 歯科の診断では、はじめに、パノラマX線にて撮影し、お口全体を1枚の写真で把握していきます。 さらに、今回の症例では左上の部分を詳しく検査するため、口腔内X線にて撮影しました。 パノラマX線撮影、デンタルX線撮影は、すべて保険適応となります。 今回の患者様のケースでは、歯ぐきを見ると、サイナストラクト(フィステル)という下記の患部の写真のようにニキビのような膿の出口が認められました。 サイナストラクトは、「できる→消失する→またできる」というように再発を繰り返すことがあります。 歯根まで細菌が感染し、繁殖して炎症を起こすと、歯の根の先に膿の袋(根尖病巣※)が作られます。 根尖病巣は、慢性化している場合、「症状はほとんどない」という方もいます。 ですが、「違和感がある」「歯が浮いた感じがする」と訴える方も多く、疲れが溜まって免疫力が低下すると根尖病巣が大きくなり、歯ぐきが腫れて痛むことがあります。 ※根尖病巣とは、歯根の先端で感染や炎症が起こり、膿が溜まってできた病巣のこと 根尖病巣ができる主な原因 根尖病巣ができる原因としては、以下のようなことが考えられます。 ①虫歯の進行や外傷などによって、歯根まで細菌感染か拡がったため ②歯ぎしりや食いしばりで、歯根が破折したため ③根管治療後に、再度、細菌が感染したため 根尖病巣への4つの対応方法 1.根管治療 虫歯が神経まで達してしまった場合などに、根管内から感染した神経や細菌を除去したうえで根管を清掃・消毒をおこなう治療です。 しかし、奥歯は解剖学的にも複雑な形態をしているため、サイナストラクト(フィステル)ができやすいとされています。ほかにも、以下のような課題があります。 (1)歯根が曲がっているため、器具が歯根の先まで届きにくい。 (2)歯根の本数が複数あり、全ての歯根が適切に治療されないと根尖病巣が再発してしまう。 (3)細い歯根が無数にあり、器具が通らない箇所は薬によって殺菌するしかない。 (4)口が開かず、奥歯に器具を入れにくい。 2.切開 根尖病巣が大きくなり強い痛みが出た場合、歯ぐきを切開して膿を出します。 圧力が下がることで、痛みが落ち着きます。その際、抗生剤と痛み止めを処方します。 3.定期検診での管理 1~3か月ごとの定期検診で経過をみていきます。 再度、被せ物を外して根管治療を行うことで、痛みが出てしまったり、歯根に負担をかけることで割れてしまったりする うなど、様々なリスクを伴います。 症状が強く出ていない、腫れていないといった場合は、定期検診で経過をみることもあります。 4.抜歯 根管治療では治せなかった場合や、歯根が割れたときなど、保存が難しい場合は抜歯となります。 歯科用CTが必要な理由 今回の患者様の症例では、実際の膿の袋ができている部位(6番)と口腔内X線写真での根尖病巣(7番)が異なるため、歯科用CTを撮影することにしました。 パノラマX線、口腔内X線だけでは、正確に歯根の状態を把握することができません。 歯科用CTを撮影することで、歯根の状態を正確に捉えて的確な診断が可能になり、 治療の質を高めています。 引用:根管解剖図鑑/小野寅之助著 歯科用CTについて CT撮影とはコンピュータ断層撮影(Computed Tomography)の略称で、いろいろな方向からX線をあて、体の成分によるX線の吸収率の違いをコンピューターで処理し、断面を画像化する技術です。 連続した断面の画像を作成することにより、体の中の様子を立体的に把握できます。 歯科用CTは一般の医科用CT(5〜30mSv)と比べて、 0.01mSvと被曝量が少ないことが特徴です。 骨の厚みや深さ、上顎洞や下顎管までの距離を計測し、歯牙や上顎洞の形態の三次元で把握することができます。 サイナストラクト(フィステル)かな?と思ったら早めに受診を サイナストラクト(フィステル)は、生体の防御反応であり、適切な感染根管治療によって消失していきます。 しかしながら、通常の感染根管治療を行ったにも関わらず、サイナストラクトが長期にわたり残存する難治性根尖性歯周炎の場合もあります。 根管治療では処置が難しい場合は、歯根端切除術という処置が選択されることがあります。 根管治療は、歯の頭の部分から処置するのに対し、歯根端切除術は歯根の部分から細菌を除去します。 口腔内にニキビのような膿の袋を見つけたら、できるだけ早めに歯科医院を受診することが大切です。 気になる症状があるかたは、一度ご相談ください。 センター南デンタルクリニック 院長 吉竹 絵里 こちらもご参照ください。 センター南デンタルクリニック|根管治療
