【症例】CT診断および根管治療によって抜歯を免れた歯のセラミック修復治療

2026.07.21
| 治療内容 | 根管治療 |
|---|---|
| 期間 | 1年 |
| 治療回数 | 18回 ※現在も他の虫歯治療のため通院中です。 |
| 費用(施術当時の料金) | CT撮影料 保険適応内 根管治療 保険適応内 仮歯(左上2本) 3,300円×2=6,600円(税込) ノンクラスプデンチャー(右上4番) 88,000円(税込) セラミックインレー(右下4番と5番) 66,000円×2=132,000円(税込) セラミッククラウン(左上4番と6番) 66,000円×2=132,000円(税込) |
治療前の状態・主訴
患者様はご来院の約2週間前から左上の歯ぐきが腫れ、他の歯科医院にて膿が溜まっていると指摘を受けたそうです。なお、10年前、右上の歯が原因で副鼻腔炎になり、根管治療を受けていたとのことでした。
今回は、CTを含めた詳細な検査を希望され、当院へ転院されました。パノラマエックス線、口腔内エックス線を撮影したところ、左上の6番と7番の2本に黒い透過像を認めました。根尖病巣(こんせんびょうそう/歯の根の先に膿が溜まった状態)の広がりを詳しく調べるため、歯科用CTを撮影しました。CT画像により、左上7番から広がった根尖病巣はとても大きく、6番を巻き込んでいました。また、左上6番にはサイナストラクト(根尖病巣に溜まった膿の出口として歯ぐきにできた穴)も確認されました。診断の結果を患者様へお伝えし、7番を抜歯して6番を残すこととしました。
加えて、その他の歯にも複数の問題が見つかったため、患者様とご相談のうえ、全体的な治療方針をご提案いたしました。
左上4番:
根尖部に同じような黒い透過像を認め、根管治療が必要であることを伝えました。
右上4番:
神経を失った歯が折れて、抜いたままになっているとのことでした。抜歯後の治療方法を説明したところ、身体への負担が少ない入れ歯(ノンクラスプデンチャー)を希望されました。
右下4番と5番:
詰め物の下に大きな虫歯があることを説明し、セラミックによって修復することになりました。


治療詳細
1日目 エックス線検査の結果から左上6番にサイナストラクトが認められました。

続いて左上7番についても、6番と合わせて2本にわたり治療が必要であることをお伝えしました。その後、歯周ポケット検査を行い、歯周病の進行度合いを説明しました。また、日頃の歯ブラシの方法を伺いながら改良すべき点をお伝えし、歯垢や歯石の除去を行いました。
2日目〜4日目 CTを撮影し、左上7番は抜歯することを伝え、左上6番の根管治療を開始しました。
こちらが左上のCT画像です。

こちらが左上7番のCT画像です。根尖病巣が大きく広がっている様子が確認できます。

続いて左上6番のCT画像です。

また、右上4番の型を取り、ノンクラスプデンチャーを装着しました。

こちらがノンクラスプデンチャーを装着した口腔内写真です。

5日目〜6日目 左上7番を抜歯し、術後の消毒を行いました。
7日目〜9日目 右下の4番と5番をセラミックインレーにて修復しました。
10日目 左上7番の抜歯から1ヶ月後、左上6番に根管治療を行い、仮歯を作成しました。
11日目 左上6番の根管充填を行いました。こちらが根管充填後のエックス線写真です。

12日目〜15日目 左上4番の根管治療を行い、セラミッククラウンにて修復しました。
16日目〜18日目 左上6番の根管充填から半年後、再度CT撮影し、根尖病巣の消失を確認しました。左上6番の型を取り、セラミッククラウンにて修復しました。

治療後の様子
左上の根管治療から約1年の通院を経て、被せ物が入った時には安堵の表情を浮かべていらっしゃいました。
患者様は2度にわたるCT検査から、しっかりと骨が再生していることが確認できて、本当に嬉しいとおっしゃってくださいました。
今回の治療を機に、他の銀歯の部位も全て治療してセラミックへと変更されたいとのことから、治療の継続を希望されています。
主な副作用・リスク
《ノンクラスプデンチャー》
装着時の違和感:
入れ歯を装着してから少なくとも1ヶ月は違和感を覚えることがあります。
食べ物が詰まる:
入れ歯と歯ぐきの間には隙間があるため、食べ物が詰まることがあります。
経年的な劣化:
入れ歯の材質はプラスチックであるため、経年的に劣化していきます。
プラスチックのバネの変形や破損:
経年的にバネが緩くなることがあります。また、細いバネの部分が破損するリスクがあります。
《セラミック修復》
噛み合わせの違和感:
装着した直後は噛み合わせの高さや形態が合わず、違和感を覚えることがあります。
脱離、破損:
外力によって外れたり、歯ぎしりによって一部または全てが欠けたりすることがあります。
根管治療におけるCTの必要性
今回、患者様は「左上の奥歯の歯ぐきが腫れた」との理由から来院されました。歯ぐきの腫れは、表面上の症状にすぎず、内部では想像以上に進行していることがあります。今回のケースではCT撮影の結果、左上7番の透過像が左上6番へと広がっていることが判明しました。
歯根は、曲がっており、細い根が複数あるような複雑な形態です。従来のパノラマエックス線、口腔内エックス線だけでは、正確に歯根の状態を把握することができませんが、CTを撮影することで、より精度の高い診断が可能になります。
今回も、CTによる精密な診断があったからこそ、6番の抜歯を回避し、歯を残す治療につなげることができました。
根管にできる根尖病巣について
虫歯が歯根まで達し、根尖(歯の根っこの先端)部分で細菌感染が広がると、身体が炎症反応を起こします。
この反応の結果、根尖病巣ができます。
根尖病巣があっても、痛みの自覚症状がない方が多いです。しかし、疲れがたまって免疫力が低下すると、根尖病巣が大きくなり、歯ぐきが腫れて痛むことがあります。
根尖病巣ができる原因として、以下のようなことが考えられます。
- 虫歯の進行や外傷などによって、歯根まで細菌感染が広がったため
- 歯ぎしりや食いしばりで、歯根に亀裂がはいったため
- 根管治療後に、再び細菌感染したため
根尖病巣の治療法には、以下のような方法があります。
治療方法1 根管治療
虫歯が歯髄まで達した場合、根管内の清掃や消毒を行います。特に奥歯は、解剖学的にも複雑な形態をしているため、以下のような理由から根尖病巣ができやすいとされています。
- 歯根が曲がっているため、器具が歯根の先まで届きにくい。
- 歯根が複数あり、全ての歯根が適切に治療されないと根尖病巣が再発してしまう。
- 細い歯根が無数にあり、器具が通らない部位は薬によって殺菌するしかない。
- 口が開かないと器具を入れにくい。
治療方法2 切開
根尖病巣が大きく、腫れて強い痛みが出た場合、歯ぐきを切開して膿を出します。
圧力が下がることで、痛みが落ち着きます。(抗生剤と痛み止めを処方します。)
治療方法3 定期検診での管理
根管治療済みの歯に対して再び被せ物を外して根管治療を行うと、歯を更に削ることになるため、歯根が割れてしまうリスクを伴います。歯ぐきが腫れて痛いといった症状がなければ、定期検診で経過をみることもあります。
治療方法4 抜歯
根管治療では治らない場合や歯根が割れた場合、抜歯となります。
センター南デンタルクリニックでは、患者様一人ひとりのご希望を大切にしながら、治療方針を決定しています。根管治療後に気になる症状がある方は、できるだけ早めに歯科医院を受診することが大切です。治療内容や方針に疑問があれば、ご遠慮なくご相談ください。ご理解いただき、ご納得された上で治療をすすめてまいります。
センター南デンタルクリニック
院長 吉竹絵里
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