【症例】ブラキシズムで破折した歯をインプラントで修復した治療

2026.10.20
| 治療内容 | インプラントで咬合を回復した治療 |
|---|---|
| 期間 | 1年3ヶ月 |
| 治療回数 | 17回 |
| 費用(施術当時の料金) | CT診断料 11,000円 (税込) インプラントフィクスチャー 242,000円 (税込) インプラント上部構造(ジルコニアクラウン) 132,000円 (税込) |
治療前の状態・主訴
患者様は、以前から左下の歯がしみていて、自分でも食いしばっているとの自覚があることからマウスピースを作りたいとのご希望で来院されました。
エックス線写真を撮ると、左下6番を支える骨が限局的に吸収していることがわかります。また、左下の4番と5番の根元に風を当てるとしみており、くさび状に欠けていました(Wedge-Shaped Defect;WSD)。
診査の結果を踏まえ、まずは食いしばり、歯ぎしりといったブラキシズムに対してマウスピースを作成し、知覚過敏にはコンポジットレジンを充填する治療から始めることになりました。

治療詳細
1日目〜2日目 パノラマエックス線検査と歯周ポケット検査を行い、歯ぐきより上の歯石や歯垢を除去しました。また、左下4番と5番にプラスチックを充填しました。マウスピースはハードタイプを作成、調整しました。
3日目 右上5番、左上6番、右下7番のWSDにもプラスチックを充填しました。
4日目 約1ヶ月後に歯周ポケット検査を行ったところ、左右の下の6番に部分的に4〜5mmの深いポケットが見られたため、その旨をご説明し、歯ぐきより下の歯垢や歯石を除去しました。
5日目 さらに1ヶ月後の歯周ポケット検査結果では、左下6番は前回と大きな変化がないことから、経過観察としました。
6日目〜7日目 マウスピースに穴が開いたため、厚みを変更して再度作成しました。
8日目 初診から8ヶ月後、左下6番が浮いた感じがし、歯ぐきも大きく腫れているとのことで診察したところ、歯が破折していたため抜歯することとなりました。

9日目〜10日目 抜歯後に傷口を消毒し、骨が再生するまでの約3ヶ月間使っていただく仮の義歯を作るため、型取りを行いました。インプラント治療は、骨の再生を待ってから行います。
11日目 義歯を調整し、取り扱いの説明を行いました。
12日目 抜歯から3ヶ月後、CT撮影を行い、インプラント治療について説明しました。
13日目 インプラントのフィクスチャー(顎骨に埋め込む人工歯根部分)を埋入しました。
14〜15日目 翌日に消毒を行い、術後10日〜14日後に糸をとりました。
16日目 埋入から約3ヶ月後に被せ物の型を取り、色を合わせる写真を撮影しました。
17日目 被せ物を装着しました。
治療後の様子
患者様は、左下のしみる症状を気にされていましたが、歯の根元をプラスチックで詰めた後はしみることもなくなったとのことです。また、顎のあたりに凝りを感じるほど食いしばりがあったため、厚いタイプのマウスピースを作ってよかったとおっしゃっていました。
神経のない歯が噛む力に耐えられず破折してしまったのはショックだったものの、インプラントを入れたことでしっかりと噛めるようになり、満足しているとのお声をいただきました。


主な副作用・リスク
・被せ物を装着した後、噛み合わせに違和感を覚える場合があります。
・歯ぎしりや食いしばりにより、被せ物の一部が欠けることがあります。
・歯ぎしりや食いしばりにより、被せ物のネジが緩むことがあります。
・インプラントと隣り合う歯の間に隙間が生じてくることがあります。
WSD(Wedge-Shaped Defect)について
WSD(Wedge-Shaped Defect)とは、歯と歯ぐきの境目(根元)がくさび状(V字型)にえぐれるように削れた状態をいいます。
主に2つの要因が組み合わさっているとされています。
要因1 過剰な噛む力
歯ぎしりや食いしばり、または噛み合わせの悪さにより、歯の根元に力が集中した結果、歯の表面にあるエナメル質が破壊されてしまいます。
要因2 不適切なブラッシング
硬い歯ブラシを使ったり、強い力で磨きすぎたりすることで、根元が削られます。
WSD(Wedge-Shaped Defect)の症状
WSDによって引き起こされる症状は以下のものがあります。
1.歯がしみる
表面のエナメル質が削れてしまい、象牙質が露出するため、冷たい水、風、歯ブラシの毛先が当たったときにしみます。
2.虫歯になりやすくなる
削れた部分にプラーク(歯垢)が溜まりやすく、虫歯になりやすくなります。
3.歯が破折する
くさび状欠損が深くなると、歯が折れてしまうことがあります。
WSD(Wedge-Shaped Defect)の治療法
WSDは症状の進行度合いに応じて、さまざまな治療方法があります。正しいブラッシング方法によって進行を防ぐことが大切です。また、就寝時の歯ぎしりに対してはマウスピースを作成することが多いです。
・しみる症状が軽度な場合
知覚過敏を抑えるために、コーティング剤を塗布し、経過観察とします。
・比較的強くしみる場合
削れた部分に、プラスチック(コンポジットレジン)を詰めます。
歯を失った際の治療方法について
今回抜歯となってしまった歯は、神経を取り除いていたためにもろくなっており、日々の噛む力で割れてしまいました。
一般的には以下の治療方法があります。
1.入れ歯
治療の期間は短く、身体に負担の少ない治療方法です。入れ歯の沈み込みやズレを防ぐため、支えとなる歯に最小限の調整を行う場合があります。ノンクラスプデンチャーや金属床といった保険適用外の入れ歯もあります。
2.ブリッジ
隣り合う歯を削りますが、安定感があります。隣り合う歯の状態、噛み合わせの状態によって、適応でないことがあります。被せ物の材質により、保険適用か適用外か選ぶことができます。
3.インプラント
顎の骨に人工歯根を埋め込み、噛み合わせを回復することができます。骨の状態によっては、インプラント治療ができない場合があります。保険適用外の治療になります。
インプラントの治療の流れ
1. 保存不可能な歯を抜歯します。
2. 骨の再生を待ちます。
抜歯前の骨の状態によって、骨の再生を待つ期間が異なります。
3. 骨の状態をCTで診断します。
4. インプラントのフィクスチャーを埋入します。
骨の高さや厚みによって、人工の骨をたすことがあります。
GBR(Guided Bone Regeneration:骨再生誘導法)
インプラント治療で顎の骨の厚みや高さが足りないときに行います。骨が足りない部分に自分の骨や人工の骨補填材を入れ、インプラントを支える土台となる新しい骨を作ります。※別途、治療費用がかかります
5. 埋入後、骨が再生するのを待ちます。
6. 麻酔下にて、歯ぐきを整形し、ヒーリングキャップを装着します。
7. 型を取り、色合わせの写真を撮影します。
8. 被せ物を装着します。
センター南デンタルクリニックでは、検査による診断の内容をわかりやすくお伝えするよう心がけています。また、保存が難しいとされた歯もできる限り残すための選択肢をご提案しています。治療について気になることがあれば、お気軽にご質問ください。
センター南デンタルクリニック
院長 吉竹絵里
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